先日、久しぶりにアジの南蛮漬けを作ってみました。味付けも上場。骨も柔らかくなっていい感じです。
旦那も喜んでパクパクと食べているように見えたのですが、途中でふと箸を止めて真顔で「これ食べた後は、口をゆすがんといかんな」と一言。
・・・なにそれ?美味しくないってこと?気分ワル。
「違う違う。これお酢だろ?チョー酸性じゃんか」
旦那いわく、酸性のものを食べた後は、歯が溶ける危険性があるので、きちんと酸を洗い流さないといけないのだとか。溶ける?まさか。お酢ぐらいで?
すると、旦那はますます真顔になって「ホントに溶けるんだよ」と言いつつ、私にそのコワ~い講釈を始めたのでした。いや、怖かったです。でもタメになりました。なので以下、その概要を記しておきますね。
人間の歯の構造
まずは溶ける溶けないの前に、歯の構造という基本的な話から。
人間の歯は、体の中で一番硬度がある部位です。どのぐらい硬いかと言うと、だいたい水晶ぐらいなのだそうです。食物をかみ砕く役割を担っているのですから、確かにそれぐらい硬くても不思議ではありませんよね。
その一番外側を覆っているのが、エナメル質というものです。通常、表面に見えている部分がこれに当たります。
さらに内側にあるのが象牙質で、これが本体にあたります。その象牙質の中心に、神経や血管が通っています。
象牙質は表面のエナメル質よりやや柔らかく、歯はこの象牙質が表面のエナメル質をバランス良く支えることにより、初めて水晶並みの硬度を保つことができるのです。
虫歯菌に浸食された場合、まず表面のエナメル質の段階では痛みは感じません。中の象牙質に至って初めて、冷たい飲み物に刺激を感じ、さらに進行するとその奥の神経に届いて、激痛を引き起こすことになります。
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「酸蝕症」とは?
さて、話題になった「歯が溶ける」という現象とは、どういうものなのでしょう?
それは「酸蝕症(さんしょくしょう)」と呼ばれるもので、文字通り、口内に摂取された酸によって歯が溶ける、というとてもやっかいな症状です。
前述したように、歯の表面は、水晶程度に硬いエナメル質でできているのですが、実はこれは酸に弱い、という弱点があります。
長時間、口内が酸性状態にあると、エナメル質は徐々に溶けだしていきます。この症状が進むと、歯の表面は薄くなり、やがて本体の象牙質が露出し、水を飲んだだけで沁みたり、またちょっとした圧力で欠けてしまったりします。
ひらたく言えば、酸蝕症とは、酸に触れ続けることで歯がボロボロになってしまうことなのです。怖いですね。
ちなみに虫歯も、酸によって歯が溶ける症状で、結果としては酸蝕症と同じですが、虫歯が、歯垢のある場所にのみ発生するという部分的症状なのに対し、酸蝕症は酸に触れた歯がすべて浸食されてしまう全体的な症状である、という大きな違いがあります。
酸蝕症の原因
酸蝕症の原因は、大きく挙げて、以下の3つとなります。
- 酸性の食物や飲料の過度の摂取
- 疾病による胃酸の逆流
- 就寝前や運動直後の酸の摂取
炭酸飲料、柑橘系の飲食物、酢を使った料理などは酸性値が高く、食べすぎ、飲みすぎは要注意です。またスポーツ飲料も意外に酸性値が高く、健康のために、と摂取しすぎるのは控えた方がいいでしょう。
胃液が口内に逆流する逆流性胃炎は、歯にとって大敵です。胃液には胃酸と呼ばれる塩酸系が含まれているため、非常に酸性度が高く、酸蝕症の原因となりやすいのです。とにかく早期の治療が必要となります。
酸を摂取しても、人間の体は「唾液」という自然の浄化作用を持っています。唾液は弱アルカリ性のため、酸を中和する効用があるのです。しかし、運動、特に激しい運動をした後や、眠っている間は、唾液の分泌力が著しく低下しますので、酸性の飲食物は控えるほうが無難です。
「2」の病気は別として、普通に食べたり飲んだりしているだけでも、酸に侵される原因が潜んでいるとは、酸蝕症とは恐ろしい病気ですね。
では、こういった原因から身を守るためには、どのような予防をすればいいのでしょうか。
まずは、口内を清潔に保つこと。これは虫歯予防と同じです。食後の歯磨き等、デンタルケアをまめに行うことが肝要です。
ただ、こと酸に対する予防として言えば、酸に触れた直後のエナメル質は、非常に柔らかい状態になっているため、食後すぐにブラシやデンタルフロスなどで歯をこすると、逆にエナメル質をこそげ落としてしまうことになります。
そのため、食後すぐは水で口をゆすいで、酸を洗い流す程度に留めましょう。重曹を少量溶かした水でゆすぐもの効果的です。重曹は唾液と同じように、酸を中和させる効用があるからです。
少し時間をおくと、唾液によって酸が中和され、エナメル質も元の硬さに戻ってきますので、そのタイミングで歯磨きなどのケアを行うといいでしょう。目安はおおよそ30分後です。
おわりに
「どう?わかった?」と、ひととおり講釈を垂れた後、なんとなく得意げな旦那。はい、よーくわかりました。でもなんとなく納得がいかない私。
だって、そんなにビクビクしながら食べるご飯なんて、美味しくないじゃん。あまりにも極端に酸を摂取するのでなければ、普通に楽しく食べていればいいのでは?
そう。要はバランスなのです。好き嫌いやダイエットで偏った食事にならないよう、気を配っていれば、それで十分なような気がします。
食事は好きな人とゆったりと楽しく。ケアはその後、考えましょう(笑)
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