実家は築35年の木造和風の一軒家。
リタイヤした両親が住むこの家の
メンテナンスの為、
古びた外壁の修理をリフォーム業者に
私が依頼し、その工事もそろそろ
終わりなので、実家に立ち寄りました。
びっくりしたのが、その業者と父との
間で新しく交わされた屋根の遮熱塗装
工事の契約。
知らぬ間に契約されていた瓦屋根への
塗装工事に、本当に必要かな?
と疑問がフツフツとわいてきます。
そこで建築会社で働く友人に、屋根への
遮熱塗装の効果について、聞いてみる
ことにしました。
遮熱効果が発揮される家って?
遮熱塗装は、塗装の中にある物質が
日光の赤外線を反射して、屋根表面で
温度が上がるのを防ぎます。
遮熱塗装が有効な屋根材や家の造りに
ついて、友人が詳しく教えてくれました。
屋根の材質
屋根の使われている材料の種類は
以下の通り。
- 瓦(土を焼いたもの)
- シングル(防水性のある紙の様な
材質に、石の粒々を圧着させた屋根材) - スレート(セメントと人工繊維を
混ぜ合わせた屋根材) - 金属(鋼板とメッキを合わせた屋根材。
トタンやガルバリウム鋼板が
広く使われている。)
一番遮熱塗装が効果を発揮するのは、
金属の屋根材。
フライパンがそうであるように、金属は
熱をよく伝えます。
つまり屋根材がガルバリウム鋼板などで
あれば、遮熱塗装する価値はあるのでは、
との事です。
瓦やスレートは、下地と屋根材の間に空気の
層が出来るし、
金属の屋根材と比べて厚みもあるので、
屋根の熱が屋内に伝わりにくいとか。
どうしても遮熱塗装をしなければ、暑くて
いられないと言う訳では無いようです。
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家の造り
屋根から伝わる熱も上手く換気口や
屋根裏の空間があれば、軽減出来ます。
つまり、屋根の熱を直接受けやすい
構造の家は、遮熱塗装の効果が期待
出来ますが、
受けにくい造りであれば、遮熱塗装に
頼らずとも、それなりに快適に過ごせる
と言う事に。
では、遮熱塗装が効果的な造りの家とは
こんな具合。
- 吹き抜けのある家
- 3階建てのお家
- 二階にリビングがある造り
屋根裏空間があれば、そこに空気の層が
出来ますから、屋根の熱は屋内に伝わり
にくくなります。
吹き抜けですと、空気層が無いので、
屋根で受けた熱がダイレクトに屋内に
伝わります。
吹き抜け造りの屋根は鋼板が多く、
金属は、熱の伝わり方も空気層より
大きいので、遮熱塗装の意味は
あるそうですよ。
2階建てに比べて、軒先きが出っ張って
いる部分が小さかったり、
3階特有の斜めの壁が、日光の熱を
大量に受けたりするため、遮熱塗装は
有効のようです。
窓が大きく日光を沢山取り入れる造り
が多いリビング。
更に吹き抜けリビングともなれば、
暑さもきつくなります。
温度の上昇はどの位抑えられる?
こんな実験データがあります。
東京都内の8月末から1月末に、鉄筋
コンクリート造の4階建ての屋上を、
施工別に4区画に分け、それぞれの
屋根裏の室温データを集計したもの。
- A区画=遮熱塗装無し+断熱材無し
- B区画=遮熱塗装有り+断熱材無し
- C区画=遮熱塗装無し+断熱材有り
- D区画=遮熱塗装有り+断熱材有り
この実験から分かった事は、夏場と
冬場でこんな具合です。
夏場編
- 塗装も断熱材も有るD区画は、
朝晩一定して30℃前後。(エアコンを上手く使えば一日中快適そう。)
- 断熱材のみ有りのC区画は、
朝晩の気温差は無いが、
D区画より2〜3℃高め。(エアコンをフル稼動すれば、何とか
過ごせそう。) - 塗装のみ有りのB区画は、
昼間は35℃位まで上がり、
夜は30℃近くまで下がる。(昼間はエアコン酷使でも暑い位。
夜も寝苦しそう。一日の気温差が
あるので、屋根裏も結露が心配。) - 塗装も断熱材も無いA区画は、
昼間は40℃に近い室温に、夜は
下がっても33℃程度。(もはやサウナでしょう。)
塗装のみでの効果を見た場合(AとBの比較)、
昼間では、塗装有りのB区画が、5℃近く
室温を抑えられるようです。
ですが、一日のうちで気温差が大きければ、
その分屋根裏での結露が酷くなる事になり、
当然傷みやすくなりますね。
断熱材のみでの比較(AとCの比較)から
見ても、断熱材だけで室温上昇は
かなり抑えられます。
結露や屋内への熱の伝わり方を考えると、
ベストなのは、遮熱塗装と断熱材有りの
組み合わせで、
塗装のみ施しても、断熱材がなければ
熱さの軽減や結露対策は片手落ちと
いったところのようです。
冬場編
- 塗装のみのB区画は、
日光を反射してしまうので、室内温度は、昼間で12℃、夜で8℃位と
4区画中一番寒い事に。 - 塗装有りで断熱材有りのD区画と、
断熱材のみのC区画は、朝晩共に18℃
前後と一定に。
塗装のみでは冬場は寒いので、
やはり断熱材が必須となるようですね。
まとめ
実家は瓦屋根で、傷みもまだ無く、
木造の特有の風通しの良さもある為、
夏場だって暑くていられない訳では
ありません。
しかも平屋建てだし、遮熱塗装が
必須とは言いがたい条件です。
父に友人から教わった事を説明し、
今回は遮熱塗装の契約は解除することに。
今は鋼板自体に遮熱作用があるものも
出回りつつある様です。
色んな技術も使う側の見極めが大事。
遮熱塗装よりも断熱材をしっかりと
メンテナンスする方が大事かなぁと
友人の言葉に説得力を感じました。
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