ちょっと気を張る場所へ、
お出かけすることになったので、
新しい香水を買ってみようかな。
そう思って香水売り場へ、行きました。
いろんな香りを試しているうちに、
ふと、ジャコさんのことを思い出しました。
ジャコさんは、以前、勤めていた会社の、
ベテラン事務員さんです。
なぜジャコさんと呼ばれていたのか?
その理由は入社したその日に、わかりました。
じゃ香の香水をつけていたからです。
いわゆるムスクというヤツです。
それがもう、ハンパない匂いなのです。
3m先からでも、ジャコさんが来た!
というのがわかるぐらい。
当時、私は新卒社員で、
ジャコさんは私の教育係でした。
なので、そばにピッタリ寄り添われて、
教えを受けることが多かったのですが、
とにかく、その時間の苦痛なことと言ったら!
キョーレツな匂いで頭がクラクラして、
何も頭に入らない。
ほぼ拷問に近いものでした。
しかし香りがキツすぎる点を除けば、
ジャコさんは、とてもいい人でした。
要領の悪い私に、我慢強く、
やさしく仕事を教えてくれたし、
ランチもたびたびご馳走になりました。
なまじいい人だけに、香りのことを意見しにくい、
周囲もそんな感じで、気の毒ながら、
彼女は裸の王様状態に…。
なにごとも度が過ぎると、
逆効果になる、ということを、
まさに身を持って学んだ日々でした。
しかし、彼女はいったい、
どういう香水の付け方をしていたのか?
今となっては、どうも気になります。
私も決して人のことは言えない、
適当に香水を使っている派なので、
新しい香水も買ったことだし、
香りのTPOについて、
少し調べてみることにしました。
香りの仕組みってどうなってるの?
香水の成分は
香料、アルコール、水です。
この成分のうち、
香料とアルコールには、
揮発性があります。
この揮発性を利用して、
空気中に香りを飛散させます。
これが香水の仕組みです。
また、3つの成分のうち、
香料の割合が高いものほど、
香りの持続時間が長くなります。
この香料は、ひとつの香水に数十種類、
多い時は百種類以上も、調合されています。
そのため、揮発性の高い香料から、
空気中に飛散していくことになるので、
ひとつの香水にもかかわらず、
時間の経過に従って、
次の3段階に香りを変化させていきます。
- トップノート
- ミドルノート
- ラストノート
付け始めて10分程度の香り。
すぐに消えてしまうため、
この段階で香りを決めない方がいいでしょう。
付け始めて30分~2時間程度の香り。
その香水の本来の香りともいうべきもので、
ここを基準に香りを選ぶのがベスト。
付け始めて2時間~12時間程度の香り。
香水の残り香となるものです。
甘くて少し重い感じの香りになります。
こうして見てみると、香水をつける時は、
やはりミドルノートを基準にして、
30分ぐらい前につけるのがいいようです。
スポンサーリンク
香水はどこにつければいい?
さて、このように香りは、
表情を変えながら、その揮発性を利用して、
香りを下から上へと発散させます。
そのため、つける場所は、
体温が高く香水が蒸発しやすいところが
いいとされています。
具体的に挙げると、
華やかに香りを出したいときは、
手首、肘裏、お腹などの上半身に。
一方、上品に香らせたいときは、
膝裏、足首などの下半身が、最適でしょう。
一方、脇の下は汗腺があるため、
香水をつける場所としてはNG。
汗と混じって香りが変わってしまいます。
香水には4種類ある!種類ごとの持続時間
香水は、大まかに言うと、
4種類に分けられます。
これを持続時間でランク付けしてみると、
次のようになります。
カッコ内がおおよその持続時間です。
- パルファン(持続時間:5~12時間)
- オードパルファン(持続時間:5~7時間)
- オードトワレ(2~5時間)
- オーデコロン(1~2時間)
「パルファン」とは、
フランス語でズバリ、
「香水」という意味です。
もともと香水とは、
このパルファンだけを、
指していたのだそうです。
どのメーカーも、値段は最高ランク。
まさに香水のなかの最高級品です。
香料濃度も15~30%と高く、
水はほとんど入っていません。
原液に近い感じです。
そのため、くれぐれも、
つけすぎに注意です。
ほんの1、2滴で充分。
点でつける感じです。
他の香水の容器が、
すべてスプレータイプなのに対し、
パルファンだけは、
フタが栓になっている、
「フラコン」と呼ばれるものです。
このフタ栓にパルファンをつけ、
チョン、と置く感じでいいんです。
こすったり伸ばしたりはNGですよ。
香料濃度は10~15%。
パルファンよりは、
多少あっさりしています。
「オード」または「オーデ」とは、
フランス語で「水の」という意味です。
訳せば「香水の水」ですね。
つまり「オード」とついた時点で、
水で希釈されている割合が高い、
ということなんです。
そのため、当たり前ですが、
パルファンよりは、
純度が低くなります。
ただ、それでも決して低い濃度ではないので、
やはり、身につける時は注意が必要です。
つける時は、30cmぐらい離して、
スプレーします。近すぎるのはNG。
量はだいたい、
1~2プッシュぐらいでしょうか。
線を引くような感じで、
フワッとかけるといいようです。
香料濃度は5~10%程度。
オードパルファンより、
かなり軽い感じになります。
オードトワレは、直訳すれば、
「化粧室の水」という意味です。
つまり化粧室でのお化粧直しの時に、
つける感覚で使える、といったところです。
口紅を付けなおすような感じですかね。
パルファン、オードパルファンが、
お出かけ用のドレスなら、
オードトワレは普段服という感じです。
日常的にも使いやすく、
普段の生活で使っても、
さほどキツい匂いにはなりません。
ただそれも、
つけすぎないことが前提です。
一回3~4プッシュほどを、
やはり線を引くような感じで、
つけること。
香りはあまり長く持ちませんので、
一日3回ぐらいに分けて、
つけてみるといいでしょう。
「コロン」とは、
ドイツのケルンという地名の、
フランス語読みです。
ケルンが発祥の香水なので、
「ケルンの水」と呼ばれています。
香料濃度は2~5%ほど。
本当にわずかの間しか香りません。
香りも濃くなく、爽やかです。
それだけに、他の香水ほど気を遣わず、
5~6プッシュぐらいを、
ひんぱんに振っても大丈夫。
キツい香りが苦手な人や、
香水初心者には、
使いやすいタイプです。
つけ方としては、
面にプッシュするような感じで、
ちょっと大胆につけてみてOK。
シャワーの後の、湿った肌につけると、
少しだけ香り持ちが良くなりますよ。
おわりに
こうしていろいろ調べてみると、
香水も奥が深いものだなあ、
と思います。
例のジャコさんは、どうやら
ムスクのパルファンを、
大量につけていたのではないでしょうか。
1~2滴で充分なところを、
5滴も6滴も…そりゃあ匂いますよね。
でもよく考えてみると、
自分の匂いって、意外に、
自分ではわからないものかもしれません。
私だって、自分の汗臭さに、
気付かない時がありますしね。
(こういうのも女としてどうかと思いますが)
香りという、目に見えないものだけに、
自分ではチェックしにくい。
だからこそ、それを身につける時の、
エチケットやマナーは、
ちゃんと把握しておかないとダメなんですね。
ちなみに、ジャコさんは、
私が入社して5年目に、
定年退社されましたが、
辞めてからも、彼女のデスク周りには、
ムスクの残り香が、
しばらく漂っていたものです。
そういう意味では、ジャコさんは、
強烈な存在感を残すことに、
成功したとも言えるのでしょうが、
やはり過ぎたるは及ばざるが如し。
つけ過ぎた香水は、
もう芳香ではないのです。
いまでも街でムスクの香りを嗅ぐと、
ジャコさんを思い出します。
コメントを残す