突然ですが。
あなたは、「狛犬」を知っていますか?
え?
馬鹿にするな?
いえいえ、そういう意味ではなくて。
その存在の”意味”を知っているかと言う、
そう言う意味です。
存在そのものは知っていても、
その意味とか由来とかになると、
以外と知らない。
そういう事って、結構ありますよね。
私の住んでいる町には、不動尊があります。
当然、そこには狛犬が一対あります。
幼い頃から、見慣れているものです。
でも、ある日散歩がてらに寄って見た時、
さて、自分はこれの何を知っているのか?
そう思った訳です。
狛犬とは、そもそも何か?
閉じられた口と、開けられた口の意味は?
左右の位置に、意味合いはあるのか?
考え始めると、思いはどんどん巡ります。
元より、この様な民俗学系は好きなたち。
さっそく、調べてみる事にしました。
さあ、めくるめく異界の探訪の始まりです。
狛犬とは?
そもそも、「狛犬」とは何でしょう?
狛犬は、獅子や犬に似た姿をしていて、
寺社に奉納される、架空の動物です。
狛犬や、それに類する動物は、
実在していません。
寺社の入口、または本殿や本堂の正面。
左右一対で、置かれます。
その起源は、古代インドと言われています。
仏像の両脇に、守りとして置かれた獅子の像。
それが、始まりと考えられているそうです。
また、古代エジプトやメソポタミアでも、
神域を守る獅子の像があります。
スフィンクス等が、いい例ですね。
この様に、獅子は昔のオリエント諸国では、
神や王の守りとして、
広く用いられていた様です。
これが、インドから中国へ伝わり、
飛鳥時代の頃に朝鮮を経て、
日本に渡って来ました。
この際、この異様な姿が犬と勘違いされ、
朝鮮から伝わった事も手伝って、
「高麗犬」と呼ばれる様になったとの事。
この他にも、狛犬の語源には諸説ありまして、
魔除けに用いた事から、「拒魔(こま)犬」。
となったと言う、説がある様です。
使われ始めた当時は、左右に違いはなく、
両方とも獅子だったそうです。
獅子と狛犬が対で使われる様になったのは、
平安時代の頃と言われています。
元来、それぞれを獅子と狛犬としていました。
しかし、現在では両方を合わせて狛犬、
と呼称するのが一般的です。
[ad#ad-1]
「阿吽」の意味
狛犬2体はそれぞれ、「阿吽」の形を、
表していることが多いです。
阿吽は、サンスクリット語のアルファベット。
それの、最初と最後の文字を意味しています。
初めが「阿」、最後が「吽」。
つまり、阿吽は「始めから終わりまで」を、
意味していると言われています。
この事から、「人生の初めから終わりまで」、の例えとされ、
「この世に生まれて悟りを求め、涅槃に至る事」が、
その意味とされています。
また、「阿」は口を開き、
「吽」は、口を閉じて発声します。
その事から、吐く息と吸う息を表します。
そこから、二人以上が一つの事をする時の、
微妙なタイミングや気持ちの一致を、
「阿吽の呼吸」と言う様になりました。
大きな寺院等にある仁王像にも、
同様に阿形と、吽形がありますね。
こちらも、狛犬と同様の意味を、
持っているそうです。
ちなみに、狛犬においては、
元々角がなく、口を開いている獅子が、
阿形。
角があり、口を閉じている狛犬が、
吽形と呼ばれていました。
けれど、鎌倉時代の後期以降に簡略化され、
昭和時代以降には、左右とも、
角がないものが、多くなったそうです。
左右の意味
狛犬は正式には、入って正面から見た時、
右が、口を開けた「阿」。
左が、口を閉じた「吽」とされています。
左右に分ける際にも、
それぞれに細かい決まりがあります。
右の「阿」の方は、次の通りです。
- 雌として扱う事が多い。
- 正式には、獅子。
- 正式には、耳が垂れている。
- 子供を連れているものが、多い。
- 年代によっては、頭に擬宝珠を乗せている。
対して、左の「吽」はこうなっています。
- 雄として扱う事が多い。
- 正式には、角が生えている。
- 正式には、耳が立っている。
- 玉、或いは鞠を持っているものが多い。
他にも、阿のたてがみは巻き毛。
吽のたてがみは直毛。
と言った、細かい見分け方もあります。
ただ、これらの特徴はあくまでも厳密な物。
現代は縛りも緩く、例外も多々あります。
角の無い吽。
両方とも「阿」のもの。
阿吽、共に耳の垂れているもの、立ったもの。
中には、阿吽の位置が左右逆、
なんて場合もあります。
狛犬の歴史は古いものです。
時代と共に変わって行くもの、
と言う事なのでしょう。
まとめ
如何でしたでしょうか?
普段、何気なく見ている狛犬にも、
こんな面白い意味が秘められています。
これから神社や寺院に行く際には、
そこにあるものの、歴史や意味に、
思いを馳せてみるのも一興かと。
……そう言えば、
例の不動尊の狛犬、左右はどうだったかな?
ちょっと行って、見てきます(笑)
コメント
[…] 言われています。この事から、「人生の初めから終わりまで」、の例えとされ、 「この世に生まれて悟りを求め、涅槃に至る事」が、その意味とされています。 引用 知恵の根っこ _____ […]