梅雨が明けると夏山シーズンの季節を迎え、
登山やアウトドア、キャンプにと
山へ出かけるには良い季節がやってきました。
しかし、蜂に刺される被害は
毎年のようにマスメディアでも取り上げられ、
山へ行くときの心配事のひとつです。
夏から秋にかけて
スズメバチは最も活動が活発になります。
この季節、ハイキングなど山へ出かけられる方は
注意が必要です。
自然のなかでは、わたしたち人間が注意しても
防ぎきれない事態が数多くあります。
「あの時こうすればよかった」と後悔しないように
どのように防いで、どのように対処すればいいのか
くわしくまとめてみました。
蜂の習性を知ろう!
蜂は6月頃、巣作りをはじめ夏になると
「女王蜂」が生んだ「働き蜂」が
活発になり、神経質になりだします。
8月~9月頃は危険期間に入ります。
巣を守るため攻撃的になるのです。
日本にいる蜂は4,000種類以上あり、
そのなかでも、攻撃的で危険なのが、
主にスズメバチ科の蜂といわれています。
スズメバチはミツバチと違って肉食です。
夏から秋にかけて食料を探して、活発に飛び回り
人と出会う確率が高くなるのです!
人に深刻な被害を及ぼす蜂は
- スズメバチ:5月上旬~11月頃まで活動
- アシナガバチ:4月上旬頃~9月頃まで活動
以上の2種です。
蜂を一番刺激してしまうのが、巣に近づくこと!
巣から半径10mくらいが危険区域です。
5m以内は特に危険です!
テリトリーに入ったら無条件で攻撃対象!!
刺すのはメスのみです。
蜂が飛び回っていないか、周囲にも気を配りましょう。
巣を見つけたら一刻も早く離れてください!
アシナガバチは葉のウラや茂みのなか、
スズメバチは地中などにも巣を作ります。
近づかないことが一番ですが、目立たない場所が
多いので、しらないうちに巣に近づいていた!
なんてことも…
山での蜂の事故のなかでは、多いパターンです。
おもに蜂は、山林や農村部に多く生息しています。
一人では山に入らないようにしましょう。
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蜂の巣に近づいてしまった場合の対処法
蜂は攻撃するまでに以下の手順を踏みます。
- 「警戒」
- 「威嚇」(カチカチ音)
- 「興奮」
- 「攻撃」
①「警戒」
まず、蜂は巣へ外敵の接近を感じると、
巣の外へでて、外敵をみながら飛び回ります。
②「威嚇」(カチカチ音)
さらに近づくと、蜂も近づいてきて威嚇行動を
とりはじめます。
高い羽音を出して飛び回ったり、オオスズメバチは
顎を噛み合わせて「カチカチ」と威嚇音を
出したりします。
カチカチ音はスズメバチの『威嚇警報』です。
カチカチ音を聞いたら、そっと逃げましょう。
蜂の目は、地中ちかくは見えにくいので、
目を閉じて、姿勢を低く、そっと後ずさりして、
巣とは反対方向へ、いそいでその場を離れましょう。
③「興奮」
絶対に手で払うことはNGです!
蜂は左右に動くものに敏感なので、
手やタオルで払うのは危険です。
ビックリしたからといって、大声も出してはダメ!
大声を出したり手で払ったりすると、
ハチは興奮して仲間を呼び寄せます。
警告を無視して近づくと、刺されます。
その場でジッとしていると、集団で襲ってくる
ので、一刻も早く逃げましょう!
④「攻撃」
蜂をあわてて叩いたりすると、蜂は攻撃モードに
きりかえて、刺してきます。
そのとき、毒液を放出するのですが、
毒成分の他に『警報フェロモン』が含まれています。
この警報フェロモンは、仲間に
「みんな敵だよ!攻撃するときダヨ!」と
お知らせする成分なのです。
巣から一斉に、蜂が飛び出してきたら、
警報フェロモンで、「興奮」が「攻撃」に
変わった合図です。
スズメバチはミツバチと違って、1度刺しても
死んだりしません。
一匹を興奮させ、毒液「警報フェロモン」を
まき散らすと、大変です!
刺されなくても、自分の衣服に付いてしまうと
攻撃のターゲットになってしまうのです!
はげしく興奮すると、何度でも襲ってきますし、
ときには、数十メートル追われることもあります。
そうなっては、とにかく逃げ切ることが最優先です!
- 黒いものは身に着けない。
(白い帽子、衣服で保護し、頭や黒目にも注意が必要) - 肌を露出させない。
- 整髪料・香水など匂いを発するものはつけない。
- 姿勢を低くする。
- 蜂に遭遇したら、ゆっくり下がりながら逃げる。
- ハチの巣に近づかない・揺すらない。
- 手で払わない。
他にも匂いの強い果物や、飲んでいるジュースの
缶にもぐりこんで、知らずに口を付けた人を刺すことも
あります。
万が一、何も準備もせずに、蜂に攻撃された場合は
すぐに黒い服は脱ぎ捨てて、
髪の毛は白いハンカチなどで覆うといいでしょう。
蜂に刺されたときの応急処置は?
- まずは、すばやくその場から離れます。
- できるだけ素早く毒液を抜き取ります。
「ポイズンリムーバー」が有効です。
ない場合は、指でつねって絞り出します。
※口で吸いだすのはNGです。 - 傷口から毒液を絞り出すように、
もみながら流水にさらすと効果的です。
※蜂の毒は水に溶けやすい性質があります。できれば、瞬間冷却材などで素早く冷やします。
※毒の回りを遅くします。 - 抗ヒスタミン軟膏やステロイド剤、
タンニン酸水を塗ります。市販の抗ヒスタミン剤をあらかじめ用意しておくと、
いざというとき役に立ちます。※ハチに刺されてときおしっこをかけるという
話がありますが全くの迷信です。 - できるだけ、患部を濡れたタオルなどで冷やし、
安静にしつつ、皮膚科を受診しましょう。 - アナフィラキシーショックを思わせる症状が
みられたら、いそいで救急車を呼びましょう!
絶対に背負ったりしないで、タンカに乗せて運びます。
蜂に刺されたときの症状は?
- 軽い症状
痛み、発疹、腫れ - 全身症状
じんましん、だるさ - 深刻な症状
口の乾き、しびれ、息苦しさ
- 顔面蒼白
- 呼吸困難
- 意識障害
- 急激な腹痛・嘔吐
- 心停止
上記の症状が出た場合、早急な救急処置が必要です。
最寄の医療機関に急ぎましょう。
『アナフィラキシーショック』とは?
アレルギー症状の一種で、生死に関わる事もある、
非常に強いアレルギー反応です。
この反応は個人差が大きく、
すべての人が、このアレルギー反応が
おきるわけではありません。
多くの人は、刺された部位が赤くなったり、
熱をもったり、腫れたりはしても、
数日もすればおさまります。
アナフィラキシーショックの場合は
ハチに刺されてから、数分以内に
- 全身が赤くなる
- 呼吸が苦しくなる
- 血圧が下がる
などの症状が起こります。
もし、刺されたら、10分~15分の間に病院で
治療を受けることが、最善です。
特に、最初刺されたときに、意識が朦朧とする
ような人は注意が必要です。
過去に、スズメバチやアシナガバチに刺された
経験のある人が、再度、刺された場合は、
蜂毒によるアナフィラキシーショックを
起こす可能性があります。
過去に、アナフィラキシーショックを起こしたり、
または起こす危険性があると思われるヒトは、
緊急時のために、アドレナリン自己注射液を
常備しておくことも重要です。
蜂に刺されたら何科に行く?
応急処置を行って、20~30分ほど様子をみて、
異常がないようならまずはひと安心!
途中で、少しでも様子がおかしい!?と思ったらすぐに
医療機関を受診することです。
また、異常がない場合でも、蜂に刺された際は
念のために病院を受診しましょう。
蜂に刺された場合は、一般的に皮膚科を受診します。
外科や内科、総合病院の救急外来は、
病院によっては受診できない場合もあります。
事前に電話で「ハチに刺された」ことを伝えて、
受診可能か確認してから行くと良いでしょう。
まとめ
例年、ハチに刺されて亡くなられる人は30人程度。
特にオオスズメバチによる死亡事故が多く報告
されています。
健康な人は100匹のハチにさされても
死亡しないそうですが、
アレルギー反応を起こす人は
わずか1匹のハチに刺されても死亡します。
不幸にも亡くなった方は、刺されてから
10~15分程度で激しいアレルギー反応で、
痙攣、血圧降下、意識障害の症状が起こり、
呼吸困難で死亡されたそうです。
また、スズメバチの毒はまむしの毒より
はるかに強いのです。
ハイキングやアウトドアなどは、自然のなかで
過ごすものですので、
蜂などの有毒な生き物に出会ってしまう機会は
意外に多いかもしれません。
ハチに襲われた場合は、最悪、死の危険性もあります。
しっかりと対処法や、応急処置などをいざというときに
備えることで、楽しく安全に山での自然を満喫できる
のではないでしょうか。
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