親が勘当する理由は? 現在の法律では勘当できない!?

Eさんのひとり息子は、金遣いが荒く、
働かずに親にお金を無心し
断れば暴力をふるうといいます。

そんな息子に愛想をつかし
Eさんは自分たち夫婦が亡くなった後
遺産が息子に渡らないようにしたいと
考えています。

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E「親の育て方が悪かったんだろうが
  あんな奴に金をこれ以上くれて
  やるのもいまいましい。

  死んだら遺産相続で私らのお金は
  全部あいつのものになってしまう。

  そんなことは金輪際いやだから、
  勘当しようと思ったんだ。」

 
私「そんなこと、できるんですか?」

 
E「遺言状を書けばなんとかなると
  思っていたんだが、
  どうやらそう簡単にはいかないらしい。
 
  このあいだ知り合いの弁護士さんに
  相談したんだがね。」

 

相続人の廃除と公正証書遺言

弁護士「もし、遺産を息子さんに残したくない
    と思われるなら、

    『相続人の廃除』を家庭裁判所に
    申し立てて認められればできます。」

 
E「そんなことをしたら、
  どんな暴力をふるってくるか
  わかったもんじゃないですよ。」

 
弁護士「それなら、遺言書を書いて
    そこに『相続人の廃除』
    入れておくのです。

    本人が亡くなった後、
    遺言執行代理者
    家庭裁判所に申し立てます。」

E「息子はそうされていることを、
  私たちが生きている間には
  知らないということですね。」

弁護士「はい。だから、それが原因で
    暴力をふるわれるということは
    ないでしょう。

    遺産相続させないためには
    この方法しか無いと思います。」

 
E「なるほど、相続人の廃除ですか。」

 
弁護士「こうした遺言書は公正証書遺言として
    作られた方がいいですよ。」

 
E「それは自分で書くというのとは
  どこか違うんですか?」

 
弁護士「公正証書遺言
    公証人役場へ行ってつくります。

    公証人がつくるので、方式不備
    なったり、偽造される恐れも
    なくなります。」

 
E「それなら息子が偽造することも
  できませんね。」

弁護士「ただし、廃除の申し立てをしていても
    家庭裁判所がそれを認めなければ
    いけません。

    家庭裁判所が認めるのは
    被相続人、つまりEさんご夫婦への
    虐待・侮辱

    あるいは
    著しい非行、殺人とか強盗とかですから、
    なかなか簡単ではありません。」

 
E「しかし、あいつは本当に
  ひどいことを私たちにしているんですよ。」

 
弁護士「当事者はそうでも、周囲から見れば
    親子げんか、家庭内の揉め事、程度に
    しか認めてもらえないことも多いのです。」

 
E「家族内の方がひどいこともあるのに。」

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代襲相続、遺留分減殺請求

弁護士「それに、廃除が認められたとしても、
    代襲相続というものがあります。

    息子さんにお子さんはありますか?」

E「学生の頃に同級生を妊娠させて、
  結婚して生まれた子があります。

  すぐに離婚して子どもは母親が連れて
  出て行ったので、今はどうしているのか
  知らないのですが。」

 
弁護士「その子はEさんからすればお孫さん
    なりますね。

    息子さんが相続人から廃除された場合、
    その方が息子さんに代わって相続人になります。」

 
E「赤ん坊の時以来、
  顔も見たことがないんですよ。」

 
弁護士「血縁関係があると認められていれば、
    直系での相続は、代襲という形をとって
    次の世代へと引き継がれていきます。」

 
E「じゃあ、息子を相続人から廃除しても…。」

 
弁護士「そのお孫さんが代襲相続
    されることになりますね。」

 
E「顔も知らなくても、孫だという理由だけで
  相続人になれるんですか。」

 
弁護士「法律はそういうことに
    なっているんです。」

 
E「極道息子か、顔も知らない孫か。
  あんまりな話ですよ。」

 
弁護士「だから、よほどのことが無い限り
    子どもに全く相続させないという
    ことは難しいと思います。」

 
E「随分、子どもに都合のいい法律ですね。」

 
弁護士「いろいろなケースを見て
    こういうことになっているんでしょう。

    一番よさそうな方法としては、
    全額を奥さんに相続させるという
    遺言を書いておくことでしょうか。」

 
E「全額を妻が相続することは
  できないんでしょう?」

 
弁護士「Eさんが奥さんより先に亡くなった場合、
    その相続人は奥さんと息子さんで、
    半分ずつになります。

    そこで全額を奥さんにという
    遺言があると、息子さんの受け取る
    遺産を侵害する遺言になりますね。」

 
E「それでもその遺言を書けと?」

 
弁護士「侵害していても
    その遺言は有効なんです。

    Eさんが亡くなったあと、息子さんが
    遺留分減殺請求を1年以内に行わないと、
    遺産はそのまま全額奥さんのものになります。

    遺留分減殺請求がされても、半分全額を
    渡す必要は無く、遺留分はその半分、
    つまり四分の一でいいのです。」

 
E「四分の一か…。」

 
弁護士「奥さんが亡くなった後にも遺産相続が
    発生します。

    そのときもこういう遺言書を作っていれば、
    息子さんには半分しか渡さなくてすみます。」

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終わりに

子どもや孫にできるだけ
たくさんの財産を遺したい
と思う人ばかりではありません。

それでも、血縁関係というのは
当事者の意思以上に遺産相続に
大きな力を持っています。

親が子を勘当するといっても、
今の法律の下では
お互いに行き来を絶つ程度のことです。

遺産相続時には
全く違う法律上の決まりがあります。

子どもが自分の意に沿わないからといって
相続権を取り上げることはできません。

世間の常識として通っている
こととは異なることもあり、
それについて知っておくことが大事です。

Eさんはこれを機会に
専門家とよく相談すると
言っていました。

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