「え~っ!?マジで?」
昨日美容院で、雑誌を読んでいたら、
「老後資金は、最低3,000万円必要」
という見出しを見つけて、
思わず心の中で、叫んでしまいました!
「家のローンに、子供の教育費や、
生活費で、精一杯なのに…
みんなどこに、そんな余裕が?
本当に3,000万ないと、
やっていけないの?」
何だか、不安になってきました。
そこで、銀行を定年退職した叔父に、
ホントのところは、どうなのか、
話を聞いてみる、ことにしました。
私「叔父さん、ちょっと教えてもらって
いいですか?
老後資金って、本当に3,000万円ないと
暮らして、いけないんでしょうか?」
叔父「急にどうしたんだい?
今から老後の、心配かい?」
私「雑誌に、そう書いてあったんです。
ウチ、住宅ローンや、子供の進学とかあって
とてもそんな貯金、できそうもないって
心配になって・・・。」
最近、老後資金はいくらが目安!
という話を、よく耳にします。
中でも、特によく聞くのが、
退職時に退職金を含めて、3,000万は
欲しい、という話です。
この3,000万円というのは、
会社勤めなどを辞めて、
収入がなくなったとき、
年金では足りなくて、取り崩して
いかざるを得ない、貯蓄額のことを
指しているようです。
叔父「ああ、なるほど。
そういえば最近、そういう話を
良く聞くね。
だけど実際には、人によって
必要な老後資金は、かなり幅が
出てきてしまうから、
3,000万円というのは、
ひとつの目安に過ぎないと
考えるべきじゃ、ないかなぁ。
とはいえ、実際にどれくらいのお金が
老後に必要になるか、心配だろうから、
みんなが平均的に、どれくらいの金額を
使っているのか、僕がちょっと
計算してみようか?」
私「よろしく、お願いします。」
平均的な老後の資金
叔父「まず計算には、前提が必要だね、
・夫婦2人暮らし
・夫の厚生年金が、もらえる
・ともに、65歳で無職
・二人とも平均的な、寿命まで生きる
ざっと、こういった条件で、
平均的な家計の、収支について
見てみるよ。」
収入と支出
総務省の家計調査(2014年)によると、
高齢夫婦無職世帯(夫 65 歳以上、
妻 60 歳以上の夫婦のみの無職世帯)で、
夫婦2人の世帯の、毎月の支出は
29,422円(非消費支出※1)+ 239,485円(消費支出)=268,907円
一方、収入は
190,800円(社会保障給付※2)+16,547円(その他)=207,347円
この支出と収入の差
268,907円-207,347円=61,560円
が赤字になって、いる訳です。
おそらく、この金額を毎月、貯蓄などを
使って、補っているのではないかと
想像されます。
※1 直接税、社会保険料など
※2 公的年金など
老後の生活は何年続く?
次に、老後の生活が、どれくらい続くのかを
考えてみましょう。
厚生労働省の統計で、65歳男女の平均余命は、
平成25年では、男性19.08歳、女性23.97歳。
そこで、20年夫婦で暮らしていくものとして、
計算してみます。
61,560円×12か月×20年=14,774,400円
つまり65歳から、夫婦二人で年金生活を
平均余命まで、送ろうと思うと
約1,500万円程度の蓄えが、
必要になると、考えられます。
叔父「ただこれは、あくまで平均。
例えば支出は、住宅が持ち家か賃貸か、
健康状態により、医療費が特に必要になったりとか、
個人の事情で、大きく違うだろうし、
そもそも現役時代ですら、20万円以下で、
生活している人だって、いるだろうから、
これが誰もに、当てはまる訳ではないよ。
勿論収入についても、同じことだよ。
年金額も人によって、違うだろうし、
年金以外の収入が、ある人もいるだろう。
必要な貯蓄額については、自分のケースで
考えてみないと、結局は分からないよ。」
自分に必要な貯金額を計算するには
叔父「自分が実際に、貯めておかなければならない
金額を計算するためには、
『収入』・『支出』・『退職金』の3つを
知る必要があるよ。」
毎月の収入
叔父「主な収入は、公的年金になると思うけど、
将来もらえる、年金額については、
ねんきんネットや、ねんきん定期便などで、
確認してみるといいね。
但し、50歳未満の人の場合は、
ねんきん定期便の、『老齢年金の見込額』に、
今後納付する分は、考慮されていないから、
『ねんきんネット』
(http://www.nenkin.go.jp/n/www/n_net/index.jsp)
のシミュレーションサービスを、利用すれば、
将来もらえる年金額の、だいたいの見込額が
確認できるよ。」
毎月の支出
叔父「支出は人によって、大きく違ってくる訳だから、
将来自分が、どんな老後を送りたいのか、
具体的に想像してみることが、大切だよ。」
老後にかかる生活費の、平均月額は、
上記の計算で、268,907円と
なるわけですが、
せっかく自由な時間ができても、
節約ばかりでは、もったいない。
もう少し、旅行やレジャー、趣味を楽しむなど
ゆとりがある老後生活を、送りたいと
いった場合の生活費は、
平均で35.4万円程度は、欲しいということに
なっているようです。
(生命保険文化センター『生活保障に関する調査/平成25年度』)
このために必要となる、貯蓄額を計算してみると、
(354,000円-207,347円)×12か月×20年=35,196,720円
この場合は、約3,500万円必要になる訳です。
叔父「それにプラスして、
『今の生活費を、洗い出してみる』
ことも必要だね。
老後は医療費など、今よりも増えそうなもの、
住宅ローンや教育費など、減るものが
あると思うけれど、
今の自分が、何にいくら使っているかを
把握しないと、何も始まらないよ。」
参考にさっきと同じ
総務省『家計調査』から、高齢夫婦無職世帯の
1ヶ月平均の消費支出を、あげておくよ。
自分の老後の、生活費のイメージが
つかみやすいんじゃないかな。」
食料 60,869
住居 16,158
光熱・水道 21,042
家具・家事用品 9,788
被服及び履物 6,940
保健医療 14,635
交通・通信 26,825
教育 9
教養娯楽 25,968
その他の消費支出 57,250
——————————–
合計 239,485
退職金
叔父「一般的に言えば、老後資金を
自分で用意するための、
最も大きな資金源は、『退職金』だろうね。」
私「でも、自分の退職金が、幾らになるか、
どうやって、確認すればいいの?」
叔父「まず簡単にできる、チェック方法は、
社内規定を、閲覧すること。
就業規則か、退職金規程に
説明や計算方法などが、書かれている
はずだよ。
分かり難い場合は、
人事・総務部などの担当者に
聞いてみてもいいね。
『定年まで、この会社でがんばったら
幾らくらいになるのか。』という
聞き方であれば、
特に人事評価に、マイナスになることは
ないはずだよ。
参考として、退職金の相場は、
日本経済団体連合会の
『2014年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果』
によると、
『管理・事務・技術労働者』の
60 歳・総合職で、大学卒が 2,357.7 万円、
高校卒が 2,154.9 万円
ということだから、
2,000万円程度は、これで賄えそうだね。
結局現役時代に、自分が老後資金として、
準備しておかなければ、ならない金額は
(毎月の支出-毎月の収入)×12か月×自分の望む余命年数-退職金
ということになるね。」
私「なるほど、これで自分に必要な
貯金額が、計算できたとして、
次に、どんな風にこのお金を
貯めれば、いいんでしょう?」
叔父「老後資金のように、長期に渡って
かなりの額の、お金を貯めるための
ポイントは、3つあるね。」
老後資金を貯める3つのポイント
叔父「まず、大切なことは
なるべく早い年齢から、
老後資金を、貯め始めること。」
なるべく早く始める
叔父「数千万円にも及ぶ、
老後資金を、貯めるには、
とにかく早く、始めることが不可欠。
老後資金を、使い始める年齢は
65歳からが、最も多いと
言われているんだ。
仮にさっきの計算で、
準備して、おかなければならない金額が
1,500万円だった場合、
貯蓄開始年齢が、40歳であれば、
毎月の貯蓄額は、5万円で済むけど、
50歳からだと、8.33万円になるよ。
早い年齢から、老後資金を貯め始めれば、
当然毎月の負担が、少なくてすむね。
更に、早く始めるほど
金利も、味方になるから
より効率よく、貯められるわけだよね。」
先取り貯蓄
叔父「生活費の残りを、貯蓄するのではなく、
毎月一定額を、コツコツと貯める
仕組みを作ることが、成功のコツ。
そのためには、手間がかからないことや
貯めていることを、忘れてしまうような、
方法がおススメなんだ。
途中で貯金を、挫折しないためにも、
給与からの天引きや、口座からの
自動引き落としなんかが、いいだろうね。」
他に流用しない
叔父「ある程度金額が、貯まってくると、
ついつい、子供の教育のためとか、
住宅費用なんかに、
流用したくなるものだけど、
それをやってたら、いつまでも
貯まらないよ。
そうならないためにも、
解約手続きが、面倒だったり、
ペナルティーが、あるような、
貯蓄方法を、選ぶように
するといいね。」
私「私には、『定期預金』くらいしか
思いつかないんですけど、
それ以外にも、何かいい方法があったら
教えてもらえますか?」
叔父「この3つのポイントを、満たして
且つ安全に、お金を貯めるには、
この2つの、金融商品なんかを
検討してみたら、
いいんじゃないかな?」
お勧めの金融商品2つ
財形年金貯蓄
財形はその制度を、導入している企業に
勤務している場合のみ、利用できます。
財形の最大のメリットは、毎月の給与から
天引きの形で、お金が自動的に
金融機関の貯蓄に、回されること。
これにより、意識することなく
積立ができるでしょう。
財形年金貯蓄の場合、5年以上
積み立てを続けると、
指定した年から、5年以上にわたって、
年金形式で、お金が戻ってきます。
所得控除は、ありませんが、
財形住宅貯蓄と合算して、
元本550万円までの利息が、非課税になります。
金利情勢によっては、一般の定期預金よりも
さらに有利な金利が、適用されることもあります。
個人年金保険
個人年金保険とは、民間の保険会社が
扱っている、年金商品で、
保険料を、積み立てることで、
将来年金を、受け取れるというものです。
個人年金保険は、元本保証のものを選べば、
安全に個人年金を、準備することができます。
あらかじめ、もらえる期間が決まっている
確定型の年金が、多いですが、
終身型のものも、あります。
個人年金保険のメリットは、支払った保険料が
生命保険料控除の中の、個人年金保険の枠で
控除として、利用できること。
支払った保険料の、毎年の総額に基づき、
最大4万円が、控除になります。
デメリットは、早期に解約した場合、
解約返戻金が、元本割れする可能性が
あるということでしょう。
まとめ
叔父のアドバイスを、まとめると
老後資金として、準備すべき金額は
(毎月の収入-毎月の支出)×12か月×自分の望む余命年数-退職金
この老後資金を、無理なく貯めるには
先ずは『とにかく早く、貯金を始める』こと。
更に、給料からの天引きや、
自動引き落としで、
『先取り貯蓄』でき、『解約し難い』
『財形年金貯蓄』や
『(元本保証のある)個人年金保険』
等を利用すれば、
より効率よく、備えられると
言う事になるかと思います。
おわりに
年金問題など、老後の生活について
考え始めると、不安ばかりが募るもの。
なるべく若いうちから、計画的に貯金して、
自己防衛するしか、なさそうです。
早速今日、主人と相談して、
財形年金貯蓄のことと、退職金のことを
会社で確認してきて、もらうよう、
お願いしてみようと、思います。
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