新築住宅の固定資産税!どうやって計算しているの?

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会社のお昼休み、後輩のHさんが
話しかけてきました。

「先輩、ちょっと教えて下さい。

 実は昨日、市役所から『家屋調査をする』
 っていう通知が、来たんですけど、
 これって何をするんでしょうか?」

Hさんは、お家を新築したばかり。

固定資産税を、計算するもとになる
 家屋の価格(評価額)を、算定するための作業よ。

 家屋の内部や、外観を確認して、
 どのような資材が、どれだけ使われているかを
 確認するのよ。」

「えっ?固定資産税
 税金のことなら、税務署じゃないんですか?」

「固定資産税は、
 市町村が徴収する地方税(市町村税)だから、
 市役所が担当なの。」

「そうなんですか。
 でも、どうして実際の家を、調査する
 必要があるんですか?

 住宅の固定資産税は、建築費から
 計算するんじゃないんですか?」

「固定資産税の評価額は、
 『再建築価格』によって、決めるの。

 再建築価格とは、『評価の対象となった家屋と、
 全く同一のものを、評価の時点で、その場所に
 新築する場合に、必要とされる建築費』のことよ。

 家屋の価値を、公平に判断するために、
 再建築価格を使う方式が、採用されているの。」

 
「???。
 先輩、もう少し詳しく、教えてもらえませんか?
 私にも分かるように、やさしくお願いします。」

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家屋の価値を公平に判断するには

「Hさんも言ったように、家の価値を知るには、
 建築にかかった費用を調べる、
 というのも、一つの方法ね。

 でも、同じような家でも、
 建て方には、色々な方法があるでしょ。」

注文住宅を、建てる方法。
大手ハウスメーカーの、建売住宅を購入する方法。
知り合いの大工さんに、頼んで建てる方法。

全く同じ床面積、素材の家を建てても、
その費用には、差が生じます。

更に、「値引き交渉をしたから」、
「キャンペーン中だから」などによっても、
価格差が生じます。

 
つまり、実際の建築費は、
様々な事情により、違いが出るため、
公正な課税の基準には、ふさわしくないのです。

この問題を解決するため、
再建築価格が、課税の基準に採用されているのです。

家屋調査では、その家屋に使われている材質、工法、
施工面積、住宅設備の有無・質などを、総務省の
固定資産評価基準」に則って調査し、点数化します。

ところで、ここで言う『同一』とは、全く同じものという
意味ではなく、「構造、規模、形態、機能などが同一で、
使われている建築資材が、ほぼ同量のもの」を指します。

これに、年数の経過による損耗の減価を反映するための
経年減点補正率』を考慮して、
固定資産税の評価基準額が、決まるそうです。

 
評価額(課税標準額)=再建築費評点数×経年減点補正率×1点単価
 

「ということだけど、普通の人が計算するのは難しいわ。

 とりあえず、この評価額が3月31日までに、
 固定資産課税台帳に登録され、
 課税標準額になります。

 課税標準額は、よっぽど豪華な内装材や、
 全館床暖房などの設備を、採用していない限り、
 実際かかった建築費の、40%~60%程度だそうよ。」

「えっ?それじゃー、この評価額が決まるまで、
 建物の固定資産税がいくらか、分からないって
 いうことですか?」

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課税標準額を知るには

「基本的にはそうなるわ。

 でも、自分の所有する土地・家屋等の評価額
 については、固定資産課税台帳を閲覧することが
 できるわ。

 課税年度の4月1日から、
 年間を通して、市区町村役場などで閲覧できるの。

 ただもっと、いい方法があるの。
 土地・家屋価格等縦覧帳簿
 縦覧(じゅうらん)する方法よ。

 自分の土地・家屋の評価額だけでなく、
 市内の土地や家屋の価格などを見て、
 比較することが、できるの。」

これらの帳簿には、次の事項が記載されています。

土地価格等縦覧帳簿:所在、地番、地目、地積、価格
家屋価格等縦覧帳簿:所在、家屋番号、種類、構造、
          床面積、価格

対象者は、
・当該区に所在する固定資産(土地・家屋)の納税者
・納税者から縦覧の委任を受けている人

縦覧期間は、毎年4月1日から「4月20日」または、
「その年度の最初の納期限の日」のどちらか遅い日まで
となっているので、市区町村役場で確認しましょう。

 
「家屋は、土地の路線価のような基準がないので、
 自分の家屋が、正しく評価されているのか、
 全くわからないでしょ。

 縦覧で他の家屋と比較するのが、一番良い方法よ。
 だから、縦覧では土地より
 家屋に中心を置いた方が、いいと思うの。

 自分の家屋と同じ『種類、構造』(居宅・木造など)で
 建築年が近い、『床面積・評価額』のデータを、
 できるだけたくさん、集めます。

 後は帰って単価を計算し、比較します。
 明らかにおかしい場合は、
 市区町村役場に、問い合わせをしてみましょう。

 それでも修正されず、何らかの不服があれば、
 納税通知を、受け取った日の翌日から60日以内に、
 審査を申し出ることができるの。」

 
「なるほど。
 これで課税標準額が、確認できますね。」
 

「固定資産税額は土地、建物を所有している限り、
 毎年課税されるのよ。
 課税標準額を確認することは、とても重要よ。

 次に固定資産額だけど、

 固定資産税額=課税標準額×税率(1.4%※)
 (※1.4%は標準税率。
  市町村によって、税率は異なる場合があります。)

 これが、1年間に支払う家屋・土地の固定資産税額よ。
 固定資産税には、軽減の特例があるので
 確認しておいたほうがいいわよ。」

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固定資産税の軽減特例

住宅建築用の土地に関しては、
住宅用地の特例」があり、以下のように
課税標準が軽減されます。

・小規模住宅用地(土地面積200m2以下の部分)= 課税標準が1/6になる
・一般住宅用地 (土地面積200m2超の部分)  = 課税標準が1/3になる

 
新築の建物の場合は、
課税床面積が120m2までの部分について、
税額が3年間又は5年間に渡って、半額になります。

適用の基礎条件は、床面積50m2以上280m2以下
・3階建て以上の耐火構造、準耐火構造 = 新築後5年間は税金が1/2になる
・上記以外の一般住宅         = 新築後3年間は税金が1/2になる

4月に納税通知が届いたら、
自分の固定資産税額が誤っていないかを、
必ず、チェックしましょう。

納税通知の書式は、市区町村で異なりますが、
基本的には、土地、建物の課税標準額が記載され、
本来の税額が、書かれています。

 
チェックのポイントは

・土地に「住宅用地の特例」が、適用されているか。
・住宅は「軽減額」が差し引かれているか。
・当該年の年税額がただしく計算されているか。

更に、課税明細書で土地、建物それぞれの
計算根拠をチェックしておけば、万全でしょう。

もしも、納税額に疑問を持った場合は、
市区町村役場に、問い合わせをしましょう。

特に新築の場合は、入居時でも固定資産税が
いくらになるのか分からないことも
少なくありません。

しかも、分譲マンションや、分譲戸建てとは異なり
一軒毎に評価が異なる、一戸建てを新築する場合、
課税のミスが発生しやすいので、注意しましょう。

計算

まとめ

総務省によると、固定資産税・都市計画税の課税誤りが
一件でもあった市町村の数は、全国1544団体のうち
97.0%にも上ったそうです。(平成24年発表)

課税誤りの内容は、土地・家屋いずれも、
評価額の修正』が第一位でした。

 
評価額(課税標準額)は、建築物価の変動と、
家屋の経過年数による減価を考慮して、
全国一律に、3年に一度改定されます。

しかしこの改定値は、新築時の再建築費評点数に
物価変動による補正率や、経年減点補正率などを乗じて
求めています。

つまり再建築費評点数は、
増築などで床面積が変わらない限り、
見直されることはありません。

新築した年は、縦覧などして、
特に注意して課税標準額を、確認しておくことを
お勧めします。
 

相続税等は、自分で税金を計算して納税しますが、
固定資産税は、地方公共団体が自動的に税額を計算し、
納税通知書を送ってくる賦課(ふか)課税です。

間違いがあっても、本人が請求しない限り
訂正されません。

面倒くさがらずに、納付通知書の内容を
よく確認しましょう。

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